川澄奈穂美選手が語る世界を舞台に戦うマインドセットとは

川澄奈穂美選手が語る世界を舞台に戦うマインドセットとは

2020年2月15日 オフ 投稿者: auniversity

NPO法人Auniversity(エイユニバーシティー)は2020年2月1日(土)、プロサッカー選手として活躍する川澄奈穂美選手を講師としてお迎えし、「世界に通用する人間になるために大切なこと」をテーマにセミナーを開催した。

 

川澄選手は、2011年FIFAワールドカップドイツ大会で日本女子代表「なでしこジャパン」が優勝した際にチームの一員として活躍した。アメリカ女子プロリーグ(NWSL)のシアトル・レインFCへの移籍を機に海外進出し、現在は同リーグのブルー・スカイFCでプレーしている。

 

急速にグローバル化が進む今、海外で活躍する一流選手の話を聞きたいと子どもから大人まで多くの人がとしま区民センターに集まった。

川澄選手は、海外でプレーするようになって何を感じたのか、ユーモアを交え親しみやすく、そして真摯に話された。

 

 

◆川澄選手は元々、海外でプレーしたいと思っていたのか

川澄選手は小学校2年生からサッカーを始めた。とにかくサッカーが好きで「うまくなりたい」という気持ちで今までプレーしてきたが、その思いは年々強まる一方。モチベーションが下がることがないという。

川澄選手の自己分析によれば、性格は楽天的・お調子者・直感型。昔から「決めたことをやり続ける」ことが得意だったそうだ。

 

海外を初めて意識したのは高校2年生のとき。U19のチームがカナダを相手に試合をしている映像を見た時に、「私も世界を相手に戦いたい」と思ったのを覚えていると語った。しかし実のところ、海外に通用する選手になりたいと思ったことはあっても、海外でプレーすることはあまり考えていなかったという。

そんなある時、練習中に突然「私は来年海外でプレーしている」という考えが浮かんだという。ちょうど海外からのオファーがあったこともあって、それを機にアメリカリーグに移籍した。しかし川澄選手は繰り返し、自身がもともとは海外でプレーする考えはあまり持っていなかったことを強調された。

 

 

◆アメリカのチームでプレーして感じた日本との違い

川澄選手はまた、アメリカへ行って感じた考え方や文化の違いについて語った。

例えば飛行機が遅れて練習時間に間に合わないとき、日本ではとても叱られるが、アメリカでは何食わぬ顔で後から練習に参加している。アメリカでは「皆違う、それでいい」という考えだが、日本では「皆違う、でもだからといって許されるわけではない」というようなやりにくさがあると思うと話した。

 

またアメリカ選手はフィジカルが強くて、例えば日本で足が速い人がやっとアメリカでいう並の速さになる。川澄選手は、これまでの自分の強みがそのままでは通用しないと分かったとき、まずは「自分を知る」ことから始めた。自分がどうやったらこのチームでやっていけるかを考えた。そして見つけた答えは「チームメイトを生かすこと」。

これはパスを出した相手が結果を出さないと自分の功績にならないから難しいことではある。しかし、これによってチームメイトからの信頼を得るようになり、逆にチームメイトから受けるパスも増えたという。

◆海外で通用する人になるためには

海外で通用する人材になるためには何が大切なのか。川澄選手はこうまとめた。

 

(1)自分の強みを「持っている」人。

(2)自分の強みを「理解」すること。自分を知ることが大切。

(3)強みを「発揮」すること。どうしたら強みを発揮できるのか、毎日考えながら練習すること。

 

「アメリカのチームメイトは必ず自分の強みを持っていた。キックは誰にも負けないとか、守備は誰にも負けないとか。同じ選手はいない。必ずそれぞれに合ったポジションがある。これはサッカーだけでなく生活の中でもそうだ。一方で、そのポジションだからこうしないといけない、とかもない。」

 

また、“良いプレー”に対する概念も違うという。日本では良いプレーとされる動きでも、アメリカでは何故そのようにするのか首を傾げられることがあった。それでは良いプレーとは何か?と考えるうちに、究極的には「相手が何を求めているか」を考えるようになった。“常識”とか“普通”という考えは、頭から抜かないといけないと。

この感覚は日本では全く感じられなかったものだそうだ。

 

 

川澄選手は、「海外に行った方がいいというわけではない」と言いかけて、こう言い直した。「いや、行った方がいい」。

「元々は海外志向でもなんでもなかったが、実際に行ってみてたくさん感じたものがあった。今は画面でいろいろなものを見れる時代だが、実際そこにあるのはもっと大きい世界。そこには音もあるし、においもあるし、ぶつかり合いもあるし、直接行かなければわからないことがある。新しい自分を見つけたいときに環境を変えることは1つの良い方法だ」。

 

川澄選手は今、アメリカのスカイ・ブルーFCでプレーをしている。

「アメリカへ行って感じたのは『生きる』こと。毎試合自分の力を出し切らないと生き抜けない、本当にギリギリの戦いを通して、日本でプレーしていたのとはまた違う楽しさを知った」と生き生きと話されていた。

 

◆セミナーを終えて

このグローバル社会において「世界」に通用する人材になるためには、まずは一番身近な「自分」を知ること。意外でもあり、しかし私たちが忘れてしまいがちな土台の存在を、川澄選手自らの体験をもとにリアルに伝えてくださった。「自分」が本当に重要だと感じられる講演だった。

 

これからもAuniversityは、自分を磨くための考えを多くの人が学べる機会を提供すべく、活動を行っていく。