Auniversity Festival 2026夏〜日本代表監督から学ぶ、伝える力〜 開催報告
Auniversity Festival 2026夏〜日本代表監督から学ぶ、伝える力〜 開催報告

Auniversity Festival 2026夏〜日本代表監督から学ぶ、伝える力〜 開催報告

Auniversity Festival 2026夏〜日本代表監督から学ぶ、伝える力〜 開催報告

2026年6月13日(土)、Auniversity Festival 2026夏を開催しました。今回は「日本代表監督から学ぶ、伝える力」をテーマに、ブラインドサッカー女子日本代表監督・上林知民氏をゲスト講師にお招きし、アイマスク体験を通じたコミュニケーションワークショップを実施しました。

開会式:映像でブラインドサッカーの世界へ

参加者のほとんどがブラインドサッカーを見たことがなく、体験したことがある人は一人もいないという状況の中、開会式ではまず、ブラインドサッカー代表選手のプレーを映像でご覧いただきました。シュートシーンでは会場から自然と「おー!」という歓声が上がり、「見えない中でもあんな隙間を突くシュートができるのか」「ドリブルで相手を交わせるのか」という驚きが広がりました。

ワークショップ①:「見えない」を体で知る

いざ、アイマスクを装着。全く見えない状況の中で、まずは数歩歩いてみる——正直、1mも動けないくらい緊張する体験でした。

次に2人組になり、「見える人が上林監督の動作を覚え、見えない人(アイマスク着用)に言葉だけで伝え、同じ動作ができるよう導く」というワークへ。普段何気なく行っている「伝える」という行為も、相手が見えない状況になると「ちゃんと伝わるかな?」と意識が変わる時間でした。

見える人が覚えた動作は、実はサッカーのストレッチでした。上林監督より、「今やってもらった動作はストレッチです。皆さんには記憶がある動きだから、見えなくても推測して、なんとなくできる。でも生まれつき目が見えない人は、例えば、ローソンが青いということすら知らない。走る姿を見たことがない。だから走ることもぎこちない人もいる。そういうことをトレーニングを通してできるよう積み上げていくんです」

私たちは記憶から推測できる。でも、見たことのないことを推測するのは本当に難しい。そういった視点を持つことの大切さを、まず認識する時間でした。

ワークショップ②:ガイドの声を頼りに動く

続いては、アイマスクをした人がガイドの声に従って目的地まで歩くワーク。途中にマーカーコーン(目印となる小さなコーン)という障害物が登場し、それを避けながら進みます。レベルアップしたチームは、コーンを持った人が動いている状況での回避にも挑戦しました。

ワークの後はグループでフィードバック。「受け手にとって何がわかりやすかったか」という振り返りが、次のワークでの伝え方を着実にアップデートしていきました。

見えない人が2人、ガイドが1人になったとき、さらなる難しさが生まれました。ガイドの声だけを待って止まってしまう人がいる一方で、「前の人がガイドの指示を受けて動いたなら、それも自分の情報にできる」という気づきも生まれました。

監督から一言。「伝えすぎるとロボットになってしまう。ガイドは方向さえ合っていれば、細かいことは伝えなくていい」——全てを伝えることが大切なのではない。声がなければ動けない人を育ててしまうことへの気づきもある時間でした。

ワークショップ③:ボールを使ったコミュニケーション

いよいよボールが登場。サッカー経験者はドリブル、未経験者は手でボールを持ち、アイマスクをした相手まで届けます。受け取る側もアイマスクをしているため、ボールを持っている人だけではなく、受け取る側にも「今ボールはどこにあるのか」「どんな状況なのか」を伝える必要があり、状況を俯瞰してみるように視野を広げる時間にもなりました。

ガイドとボールを受け取る人、それぞれから声がかかると受け手が混乱する場面も。「ガイドは方向さえ合っていれば、受け取る人の声だけに任せて自分は黙るという選択も有効」——伝えないという選択も、コミュニケーションのひとつの技術だと実感する場面でした。

ワークショップ④:シュートへの挑戦と気づき

方向感覚をあえて失わせるために、その場で2回転してから目的地に向かって歩き、マーカーにシュート。

印象的だったのは、女性と男性の対照的なアプローチです。女性は見えない人に寄り添いすぎるあまり伴走してしまい、ゴール(マーカー)に誰もいない状況が生まれていました。「シュート!」と声をかけても「どこに向かって?」という状態に。親身に助けることと、その人自身が目的にたどり着けるよう引き出すこととは、似ているようで全く違う——そのことに気づかされた瞬間でした。

マーカーに当たった瞬間、蹴った本人にはわからなくても、周りの歓声によって「当たった!」と気づく。一人の成功を周りが喜ぶことで初めて伝わる——この「伝わり方」は、日常の中でも同じではないかと感じました。その人の行いが、周りにとって感動や喜びであると伝えることが、本人が気づいていなくても自信に繋がる大切なことなのかもしれません。

ブラインドサッカー試合体験

男性陣は最後にブラインドサッカーの試合を体験。アイマスクをつけた選手1人とガイド役の見える人1人が1組となり、4対4の形式で行いました。まず自分の位置を確認し、目指すゴールの方向を周りの声を聞きながら定めていきます。

目指すゴールにはゴールキーパーではなく「仲間」がいて、ガイド役として目的地を声で示し続けます。声を頼りに、パスを出してみて、受け取ってみて、そんな中でシュートが決まると歓声が起こりました。

参加者の声

「目が見えない中でサッカーをするという貴重な経験ができてとても嬉しかったです。どのようにしてずれを解決していくのか——動かないゴールという基準を見つけることだなと感じました。」(学生)

「目が見えない状況はとても不便で寂しい世界だと思っていたのですが、目が見えないからこそ耳がよく聞こえて、他の見える世界があるんだということを知ることができました。一生懸命に大きな声で伝えても伝わらない時があって、その時と状況に応じて伝え方を変えなくてはいけないのだと非常に勉強になりました。」(社会人・女性)

「ブラインドサッカーの体験を通して、視覚障害がある方の感覚を知る貴重な機会となりました。受け手に合わせた情報の発信方法は言語・非言語問わず十分に配慮すべきだし、受け手の感覚を知るためのコミュニケーションが必要だと感じました。」(社会人・男性)

「楽しかったですし、ブラインドサッカーの体験を通して疎通することについて考えることができる内容になっていてとても良かったです!最後の監督への質問コーナーで、選手に対してアスリートとして接するという話や、選手たちは記憶力がとても良いという話など、新鮮な内容でした。」(社会人)

終わりに

「伝える・伝わる」は、何を伝えるのか、何に向かって伝えるのか——結局は「ゴール」という目的に対して、その人が自ら動けるよう、必要な分だけ、その人と共通の言語で伝えることが大切だと学びました。

「道を歩いていて視覚障害者の方に出会ったとき、どのようなサポートができますか?」といった監督への質問もありましたが、このイベントが、明日から自分にできる「伝える」の世界が広がっていく機会となれば幸いです。

ご参加いただいたすべての皆さま、そして上林知民監督、本当にありがとうございました。

※本イベントはスポーツくじ(toto/BIG)の助成を受けて開催しました。